奥多摩(三峰口〜雲取山方面)2012.08.30〜31 第2話


倒木に幾度となく道を遮られ、思うように前へ進めない。
踏み後はすぐに途絶え、何度も道を見失う。
まるでハイカーを拒むかのようなルートだ。


そしてまったく人の気配はしない・・・。
16:04、僕は長沢背稜をひとり歩いていた。


完全に泣きそうだった。
山荘行きを選んでいたら、今頃冷えたビールを飲んでいたはずだ。




踏まれていない地面は、足を載せると不気味に沈む。フカフカして柔らかい。
コンパスと地図を眺める。道を見失う。この繰り返し。




16:54、長沢山に到着。日が傾き始めていた。


僕はかなり焦っていた。
2時間前、長沢背稜に足を踏み入れた時点ですでに覚悟を決めていたことがある。
今夜はビバーク、野宿になるだろう・・・。
すでにさっきからずっと、平坦な場所を探して歩いている。
しかし倒木や岩が多く、まったく見つからないのだ。


こんなときこそ冷静にならなくては・・・。
2万5000分の1地形図を見て、この先のルートを確認する。
・・・、水松山の手前に、割と平坦な場所がある。
そこまで行こう。そこならきっとテントが張れるはずだ。


日没はたぶん18時頃だろう。
頼む、間に合ってくれ・・・。



つづく



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